いつだってボンベイ

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グッドウィルハンティング 旅立ち

『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(グッド・ウィル・ハンティング/たびだち、Good Will Hunting)は、1997年公開のアメリカ映画。監督はガス・ヴァン・サント、製作会社はミラマックス。

天才的な頭脳を持ちながら幼い頃に負ったトラウマから逃れられない一人の青年と、最愛の妻に先立たれ失意に喘ぐ心理学者との心の交流を描いたヒューマンドラマ。

1997年12月のワールドプレミアでは当時は無名の俳優であったマット・デイモンが執筆した脚本と完成度の高さに注目が集まり、最終的にアカデミー賞ゴールデングローブ賞において脚本賞を受賞するなど高い評価を受けた。【Wikipediaより】

 

アドラー心理学自己啓発書(『嫌われる勇気』など)の中で取り上げられ、アドラー心理学の考え方が爆発的に広まって久しい昨今。

 

原因論ではなく、目的論で物事を捉えていこうという風潮が少しずつ広まりつつあるように思います。

 

原因論と目的論について

ユングフロイトが感情や行動は「過去の原因から生み出される」と原因論を説いたのとは逆に、アドラーは「目的のためにつくり出される」と目的論を唱えた。

 「例えばひきこもりであれば、原因論では外に出る不安感から家にひきこもっていると考え、不安の原因を探そうとします。一方、アドラー心理学では外に出たくないから不安感をつくり出していると考える。親に大事に扱ってもらいたいとか、親への復讐(ふくしゅう)だとか、外で傷つきたくないとか、行動には目的があると考え、それを見極め、適切な対処をしようというわけです」と岸見さんは説明する。

【特集ワイド「アドラー心理学」今なぜブーム?毎日新聞 2016年5月19日 東京夕刊】より

 

本作は完全に原因論に基づいてヒューマンドラマを描きます。というより、ヒューマンドラマを描くのに、目的論を導入してしまうと、あまり感情移入出来ないかもしれません。

 

「ここで、主人公が自分の1番の理解者を罵倒してしまうのは、自分の主張を通すためだ。」

と分析してしまうと、途端に主人公の行動が打算的なものに見えてしまいます。

「過去に負った心の傷が原因で、自分が愛する人も傷つけてしまう」

という解釈の方が、人間をより繊細で不合理で、その危うさに魅力を感じることができます。

 

この作品は、原因論と目的論について知った上でも「やっぱり人間はそんなに合理的な生き物じゃない!感情に振り回されて不合理なこともしてしまうんだ!」と思わせてしまう力があると思います。

その力の源は、やはり役者さんの演技でしょうね。なんだか、すごく生々しいのです。

そして、脚本、演出も素敵です。

 

自分に自信がなくなったとき、どうしようもなく自分を認めてあげることができないとき、この映画を見てみてください。

「君は悪くない」「君のせいじゃない」

作品全体を通してそんなメッセージを送ってくれているような気になります。

そんな映画です。

 

 

再スタートしたい。

でもその前に、大好きなあの子に会いに行きたい。

おんぼろの車で。